奮起

仕事をしていると,治療が失敗に終わったことを一時的ではあるが,忘れることができる。夕べは眠っているつもりでいても神経が高ぶっていたのか,朝起きた時に頭がとても痛かった。その頭痛は午前中いっぱい続いた。


昨晩,夫と「とりあえず診察を受けてみよう」と結論づけたものの,朝食の時までまだ迷いがあった。でももう,夫は行くつもりでいた。出勤前に最寄り駅に行き,明日一日駅の駐車場を借りられるように手続きをしてきてくれた。もう,進むしかない。とにかく,行ってみなければ。


仕事を珍しく5時過ぎに切り上げて,お花に行く。明日新しいクリニックに行って戻ってきたら,疲れてしまってお花に行く気持ちにはなれないと思って。7時過ぎに実家に行き,夕食を食べる。明日の予定について母に聞かれ,正直に転院の話をする。母は「まだ続けるつもりなのか?」とやや私をなじるような感じで言った。私は頭にきて口論になった。治療をするたびに,10万単位でのお金が飛んでいく。今度の転院先での治療には,今まで通っていたクリニック以上にICSIーETにお金がかかる。およそ,1.5倍強だと思う。治療が失敗に終われば,全てが泡となって消える。でも,治療しなければ私たち夫婦には絶対子どもが授からない。とんでもない「かけ」だということは承知している。「20年近く勤めてきて,これくらいのお金を数年間も払えなくてどうする」と無理矢理自分の気持ちを奮い立たせてやっと立っているのに。父は言った。「お前の後悔の残らないようにやれよ」と。


夜,職場の先輩と電話で話をした。仕事のことで話をしていたのだが,ふと彼女が私が近医としてお世話になろうと考えているKクリニックとその病棟のK病院について詳しいことを思い出した。近医と言っても,病棟は1200床もある大病院だ。彼女は5年前にその病院で乳ガンの手術をしていて,乳腺外科と産婦人科のDRや病棟のことにはとても精通している。注射は処方箋があれば,外来の時間外でもやってくれるだろうか。病棟ではどうだろうか。などなど。外来は5時過ぎでも点滴をやっていたので大丈夫そうだけれど,病棟では入院患者でなければだめだろうとのこと。