予後

いよいよ明日,父は退院する。退院することは喜ばしいことではあるけれど,私は先の先まで見通そうとして,なんとも不安でいっぱい,気持ちがいつも緊張している。


今日も少し早めに職場を出て,5時35分頃病室に着いた。5時50分頃,病室の前の廊下を,外科の担当医が歩いて行くのが見え,声をかけようかと思ったが,またあとで来室するであろうと,見送った。6時10分過ぎ,父が夕食を食べていると,内科の担当医が来室された。「内視鏡での治療もうまくいき,合併症も出なくてよかったですね」とのお話。入院当初から比べれば,随分思慮深い話の内容となった。


そろそろ7時と言うとき,父が「もう帰っていいよ」と言うので,病室を出た。ナースステーションの前を通ると,どうも外科の担当医らしい後ろ姿が見えた。看護師さんに,「あそこにいらっしゃるのは,○○先生ですか。呼んでいただけますか」と言うと,呼んでくれた。廊下で少し話す。来週の外来の時に来ることができないことを告げると,「今お時間ありますか」と言われて,外科の先生のお部屋に通される。先生から,入院してから今までの治療の経過。それから,これからの治療方針と予後についてお話があった。先生は言葉を選びながら,ていねいに話てくださった。「ぼく,ご本人も,奥様も,娘さんのこともよく知っているので・・・」と言って下さったことが,とても印象的だった。先生にお礼を言って別れたのが,7時35分だった。


なんだか力が抜けてしまって。これからどうなるのだろうと不安になってしまって。家に帰っても夕食を食べる気がしなかった。


どんなに一生懸命にやっても手に入らないものがあるんだな。「命」